「変わるまで、続ける」をテーマに、活動の輪、応援の輪が広がる2023年のプライドパレード。リーダーのまきしに見どころや楽しみ方、そしてパレードを通じてTRPが伝えたい「思い」を語っていただきました!
今年は国内外の団体が多数参加!「自分らしさ」を表現できるプライドパレード
――TRP2023プライドパレードの注目フロートは?
まきし:どのテーマのグループで歩くか、そこがプライドパレードの楽しみですが、今年は3つの主催者フロート(装飾された乗り物)が見どころ。先頭を歩くTRPの主催者グループ「東京レインボープライド 」は、キービジュアルのイメージに合わせた“和”のフロート車が登場する予定です。
2つ目は全国のプライドパレード・フェスティバルの主催団体が集まった「JAPAN PRIDE NETWORK」。カミングアウトになるんじゃないか……と思って自分の地元では歩くのが怖いという方は、このグループで思いを伝えてもらえたらと思います。そして3つ目の主催者フロートは、10、20代が中心となって活動している団体「YOUTH PRIDE JAPAN」。LGBTQの「Q+」をテーマにメッセージを掲げてパレードを歩くそうです。ユース世代で同年代の人と交流したい方はこのグループに参加してもらいたいですね。
――他にどんな団体がパレードに参加しますか?
まきし:LGBTQ当事者を応援する国内の団体はもちろん、海外からも日本のプライドを応援したいということでグローバルな団体が参加します。例えばLGBTQコミュニティを応援している「プライド7プラス」は在日各国大使館が集結したグループ。韓国のプライドを主催する団体「ソウル・クィア・カルチャー・フェスティバル」やエイズの予防支援をしている台湾の団体「台灣伴侶盟×台灣紅絲帶」など身近な国の団体が歩く予定です。
向かう方向はみんな同じだけど、違う価値観があって、自分らしく歩けるのがTRPのプライドパレード。楽しみ方は個人の自由ですから「自分らしさ」を表現する場として、ありのままの気持ちで参加してもらえたら嬉しいです。
これまで繋いできた活動の輪があってこその「今」
――プライドパレードの規模を拡大してきた背景は?
まきし:運営として第一に考えているのは、LGBTQ当事者や団体はもちろん、アライの人、応援してくれる企業など、参加する全ての人がこのプライドを祝福できる空間。
プライドパレードの規模が大きくなり参加者が増えるほど、伝えるメッセージや表現方法が多様になりました。Happyな「祭典」の要素が強くなってきましたこともあって、中には不満を感じる方もいるかと思いますが、表現方法が違うだけで「社会が変わるため」というのは参加者それぞれが持っていると思っています。
カラフルな衣装で参加している人も「自分らしさ認め合える社会」ということをファッションで表現していたり、そこには差別や偏見などの社会課題がいろんな形で存在していたから。
LGBTQの人たちにとって象徴となるイベントだからこそ、いろいろな議論を重ねながら、時には厳しい意見をいただきながらも、より良い社会にしていくためにパレードを運営しています。これまでつないできた活動の輪があってこそのプライドパレードであり、自分の思いを伝えられる場を作っていることを知ってもらえたらと思います。
――パレードを通じてアクションにつなげたいということですね
まきし:何を変えたいか、何が変わってほしいかは人それぞれ。自分はTRPの活動を通して「居場所」を求めている人に向けて発信したいと考えています。それに個々で活動しているLGBTQ団体がTRPをプラットフォームに同じ場所にいるという状況は大きな原動力。コミュニティ団体とスポンサー企業をつなげたり、団体同士でつながったり、競合だけどつながったり……そういうネットワークを作って盛り上げていきたいですね。法律の改正に直接つながるわけではないけど、何もない状態では何もできない。一緒に協力していく体制を作ることが大事だなと思います。
コロナ禍だったからこそ、TRPでの活動を見つめ直すことができた
――コロナ禍の影響はありましたか?
まきし:今年のパレード参加団体は全部で39グループ。コロナ前の2019年とほぼ変わらない規模で「楽しみです」という声もたくさんいただいています。コロナを区切りに新しい参加者たちも増えて、LGBTQへの関心が高まっているなと感じますね。
そうした中、コロナ禍のオンライン開催を経て気付かされたのが「自分たちは何のためにプライドパレードをやるのか?」をあらためて見つめ直せたこと。団体としてもそうなのですが、ぼく個人としもてもきちんと考えることができました。というのも、2016年からボランティアスタッフとして携わってきて、本当に毎年必死でした。
参加者がどんな思いで歩いているのか、みんなが笑顔で歩いてくれているのかとか、リアルで開催していたときは実は参加者の声に触れることがなかったんです。
それがオンラインになったことで「パレードがあってのプライド」「はやくみんなに会いたい」など、参加者のリアルな声を拾い、企業や団体がどんな思いで参加しているのか、あらためて知ることができました。
今まで運営チーム内で共有できていなかった情報を可視化して「みんなでやろう!」という思いで準備ができたのはよかったですね。
――コロナ前と今、変わったなと感じることは?
まきし:良くも悪くもコロナになっていい方へ向かっていると思います。TRPというイベントがどういうものかを考えるきっかけになりましたし、オンラインになったことでLGBTQ当事者の思いを聞くハードルが低くなり、パレードに対するモチベーションにもつながったなと。
何よりもコロナ禍で自分自身をリセットする時間ができたのは、自分にとってすごくよかったです。初めてTRPに一般で参加した2015年、実は30分で帰ってしまったんです(笑)というのも、ブースやステージの見方も知らないし、LGBTQの方と会うことに緊張してしまい。何をすればいいのか分からなくて帰りました。ただいろいろなLGBTQの人たちと交流したかったので、翌年2016年にボランティアで参加しました。スタッフとして関わらざるを得ない立場の方が自分に向いていたということですね。そこから毎年ボランティアで参加するようになり、ありのままの自分が日本のど真ん中「渋谷」をパレードしたことに感動!主張したりメッセージを伝えるだけではなく、これでいいんだ!と自分を肯定できたことは大きかったです。
まずは一歩を踏み出してTRPの活動を見てほしい
――TRPに興味がある方に向けてメッセージをお願いします
まきし:ボランティアから参加した身としては、ボランティアが一番TRPを楽しめるのかなと個人的には思っています。自分のように一般で参加しにくいと感じたら、ぜひボランティアで参加してください(笑)セクシュアリティ関係なくいろいろな人と触れ合って、自分の中で「一歩」踏み出すセクシュアリティきっかけになれば嬉しいですね。
それに運営スタッフはやさしい人たちばかりだから一人でも参加しやすいかなと。一般で参加するなら、ご飯を食べたり雰囲気を味わうだけでもいい。でも何か悩みがあるなら、ブースに立ち寄って交流してみてください。きっと何かしらのつながりができるはずだから。自分らしさを表現できる場で仲間と楽しい時間を共有してもらうためにも、ぜひTRPに来てみてほしいです。
――何か伝えたい、発信したいと思ったら?
まきし:公式サイトのパレードページから、TRP2023のテーマ「変わるまで、続ける」に沿ったメッセージを募集しています。声を挙げたい!伝えたい!応援したい!という思いがあれば、ぜひ送ってください。音楽に合わせてノリノリで歩くもよし、メッセージを掲げるもよし。自分のスタイルに共感するグループでパレードを楽しんでくださいね。
LGBTQが認知されてきたとはいえ、当事者の置かれる状況はまだまだ変わらないのが現実。自分らしさを表現したい。仲間と楽しい時間を共有したい。権利を訴えたい。さまざまな思いを持って「私たちはここにいる」と発信するプライドパレードの意味を丁寧に語ってくれたまきし。興味を持った方は、ぜひ今年のプライドパレードに参加してみてください!